近年の研究では、適切な運動負荷が線維芽細胞や細胞外マトリックスのリモデリングを促進し、ファシアの力学的性質や組織恒常性に寄与することが示唆されています3)。また、運動は筋・腱のみならず、神経系の可塑性や体性感覚の統合にも影響を及ぼし、姿勢制御や協調運動の改善に貢献します4)。

臨床的には、可動域の改善を目的とした運動療法から、パフォーマンスの向上を目指すトレーニングまで、多様な形で応用されています。特に本研究会では、徒手療法と組み合わせながら関節可動域の改善や動作の質の向上に焦点を当てること、さらにはアスリートや一般生活者の身体機能を高めるためのパフォーマンス改善に取り組むことを重視しています。重要なのは、エビデンスに基づく理論と臨床現場での経験を統合し、対象者の状態や目的に応じて柔軟にプログラムを設計する点にあります5)。

当会では、ファシアトレーニングの在り方を示すものとして、徒手・運動・物理療法が互いを補い合う相補的関係を大切にしています。詳細は、「徒手・運動・物理療法の相補的関係」をご覧ください。三つの療法がどのように互いを補い合うのかを解説しています。

参考文献
1)Stecco, C., Porzionato, A., Lancerotto, L., Stecco, A., Macchi, V., & De Caro, R. (2014). Histological study of the deep fasciae of the limbs. Journal of Bodywork and Movement Therapies, 18(3), 403–412.

2)Yahia, L. H., Pigeon, P., & DesRosiers, E. A. (1993). Viscoelastic properties of the human lumbodorsal fascia. Journal of Biomedical Engineering, 15(5), 425–429.

3)Schleip, R., Klingler, W., & Lehmann-Horn, F. (2005). Active fascial contractility: Fascia may be able to contract in a smooth muscle-like manner and thereby influence musculoskeletal dynamics. Medical Hypotheses, 65(2), 273–277.

4)Hodges, P. W., & Tucker, K. (2011). Moving differently in pain: A new theory to explain the adaptation to pain. Pain, 152(3 Suppl), S90–S98.

5)ACSM (American College of Sports Medicine). (2022). ACSM’s Guidelines for Exercise Testing and Prescription (11th ed.). Wolters Kluwer.